博物館勤務を含め、35年間埋蔵文化財の発掘調査及びその整理・報告、一般への各種公開といった考古学にかかわる仕事をしてきた著者が、考古学自体とは少し距離を置いた「その周辺」をまとめたものである。
性・交合に対する「イヤらしい」という感覚は、いつの時代に発現したものか?
2000年初頭に一大ブームとなった陰陽道の「影」の所属性に含まれる、賤視や差別、軋轢といったデリケートな問題取り上げ、現在も畿内にその紐帯がなお維持されている「歴代組」とは?
旧家や路傍に放置され、不使用「遺物」となった石臼にある地域色とは?
といった内容を、考古関係者としての研究手法をつかって、考察した文字通り「その周辺」物の集積である。
目次
I部 交合と産<br>
性・交合の考古学/妊娠・出産・後産の考古学/後産呪法と考古学<br>
II部 陰陽道と「歴代組」<br>
21世紀に遺る陰陽師集団の祭祀/河内額田「陰陽道歴代組・村史に関する写真集」のこと/陰陽道「歴代組」・藤田天社宮文書の現状/北河内・星田妙見宮の陰陽道関係資料/交野・星の森宮祭礼と隆星伝説/星田・隆星伝説〈事跡〉:交野市光林寺の祭礼/安倍晴明・陰陽道ブームを考える<br>
III部 石臼雑記<br>
池島・福万寺町付近に遺存する近世以降の農耕関連石造品/迷い子資料・5分画挽き臼の謎/稀少資料・5分画挽き臼の新確認例/大和山中挽き臼踏査覚書/中国華東地方臼類見聞小録