これが西洋料理の事始め!?
明治16年、築地居留地宣教師館の
元サムライ料理人が遺した
開化の料理手引き126
明治前期の開化期に、東京・築地居留地で布教活動を行っていたマダム・ペリー。二人の姉妹が日常的に伝えた西洋料理レシピを、詳細に手帖に残していた料理人兼従僕がいました。嘉永3(1850)年生まれ、信州松代藩の元サムライ、野村高治。ご一新の時代に東京に出て、キリスト教宣教師の街頭説教に感銘を受けて入信し、料理人兼従僕として宣教師館に勤めた彼は、マダムからの126の西洋料理レシピを小さな手帖にまとめていたのです。
本書は、高治の孫が手帖を解読し、元新聞記者の曾孫が足跡を追ってまとめた貴重な一冊。
レシピ集は、「スープ」「魚」「牛肉・子牛・羊・豚」「鳥・獣」「野菜」「ソース」「菓子」「セーブリー&卵」の8つに分けられ、「ベチャメルソース」や「プラムプッディング」など今でも食卓で再現できるメニューのほか、「子牛の頭半分」「羊の腎臓四つ」、「豚生まれて三日以内のもの殺して間もなく用うべし…」など、現代の食卓では想像できないような豪快な料理も!
明治初期の築地居留地の風景や人々の暮らしぶり、そしてわが国の西洋料理がどのように伝わり、広がっていったのかも考察できる史料的な価値もある一冊。巻末には、早稲田大学 教育・総合科学学術院 複合文化学科教授・福田育弘氏の解説つき。
料理に関心がある人はもちろん、気軽に食卓でレシピを再現したい人も必読の書です。
⦿本書の内容⦿
◆築地居留地宣教師館料理人 野村高治とマダム・ペリーがいた時代
◆『明治十六年九月 西洋料理手引きの記』
スープ拵え方/肴(魚)/
牛肉 子牛 羊肉 豚/鳥 獣の類/
野菜の類/ソースの類/
菓子/セーブリー アンド 卵等
◆築地居留地の料理人のレシピ集から見えてきたもの
開化西洋料理手引草(村上百合子)
「野村高治」の追跡(村上隆)
マダム・ペリーの報告書
刀を包丁に持ちかえて(福田育弘)