本書は、筋ジストロフィー症という不治の病とともに生まれ、
その過酷な障がいと生きることを引き受け、2018年65歳の人生を全うした、
徳島の実在の男性の青春の記録を、その妻が、患者本人を主人公とした物語としてまとめたものです。
生前、聞き伝えられていた徳島における筋ジストロフィー症患者会活動や、
筋ジストロフィー症研究所設立運動などの歴史、活動の内容、
結婚を決意するまでの想いや葛藤、家族の想い、
当時の社会保障制度や障がい者への偏見や差別の実態を少しでも多くの人に伝えたいとの思いで、本にしました。
障がいを持った青年と、ボランティアとして出会った看護学生の恋愛物語という側面もありますが、
その2人を通じて、障がいがあっても一人の人間としての尊厳を守りたい、
社会の一員として普通に暮らしたいという、障がいを持ち生きる人たちの真実の願いを理解していただけたらと思います。