偽書視されてきた『鬼谷子』の信頼性を証明する
中国では、群雄が割拠した戦国時代から漢初にかけて多くの思想家が輩出し「諸子百家」といわれた。
本書は、その中で各国の諸侯に多大な影響を及ぼした「従横家」とよばれる実践思想家について、一般には偽書とされる『鬼谷子』の信頼性を証明し、従横家思想の体系的研究の基礎を構築することに挑んだ。
第一部では『鬼谷子』を中心としてその他に、老子、荘子、准南子などにもふれながら中国古代文献の成書等について、研究誌に掲載した6つの論文と補論をまとめた。
第二部では、1990年代から現在に至るまでの現代中国を実際に旅した旅行記とその際の写真、思想文化、また近年取りざたされている新疆ウイグル自治区の人権問題なども取り上げる。
目次
第一部 『鬼谷子』等中国古代文献研究
第一章 従横家思想について ―『鬼谷子』を中心に―
第二章 『老子』について
第三章 『老子』の成立時期と成書の経過について ―新出土資料をもとに―
第四章 『春秋事語』と『經法』等四篇
第五章 『六韜』の基礎的研究
第六章 『准南子』精神訓『荘子』
補 論 俶真訓と『荘子』 論文英文要旨
第二部 現代中国旅行記等
第一章 山東省の今昔
第二章 中原の古代と思想
第三章 良渚文化、河姆渡文化、呉越の興亡などについて
第四章 中国旅行記補足
中国旅行写真
第五章 中国新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐって
第六章 「倫理」「世間」「存在」の語義について