戦時中、16歳で自らの意志により父のいる満州へと一人渡った女性の壮絶な体験記。満洲で暮らし始めて2年後、突然ソ連軍の侵攻に遭う。山中を何日も歩き続けたものの、とうとうソ連軍に捕まってしまう。ソ連軍からは解放されたが、お金が底をつき生活苦に陥る。そんな時、出会ったのが終生の伴侶・中井医師であった。戦後8年もの間、満州に抑留され3人の男児を生み育てたくましく生きていく姿は凛としている。
91歳の著者が、戦争を知らない若い世代にぜひとも伝えたいと筆を執り、一気に書きあげた。
目次
第1章 父を追って満洲へ
私の幼年時代/女学校時代/母のこと/父のこと/満洲への旅立ち/東寧の街/届かない手紙/八雲寿し/二人の将校/武男兄さん/白石さん/興農合作社で
第2章 逃避行のはじまり
ソ連軍侵攻/東寧脱出/山中の逃避行/終戦を知る/東京城で/ソ連兵の乱暴/父の死/多美枝さん/軍医の奥さま/再び東京城で/牡丹江で/渡辺さん/仕事探し/喫茶店で/京城行きの話/ソ連兵の客
第3章 家族とともに
結婚の決意/種痘に行く/航空隊/引揚げが始まる/夫、利治の話/大浦先生/兵站病院/出産/雨宮さん/三棵樹/隊長の奥さん/幹部訓練隊/西への旅/帰綏で/包頭で/帰国